カジノ開業を東京五輪に間に合わせるのは不可能?

 

シンガポールの事例をもとに検証

シンガポールカジノ

シンガポールは5年でカジノ開業できていない

当サイトでも幾度となく取り上げてきたが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックという世界的一大イベントにあわせてカジノ・IRを日本にオープンさせれば経済的にも巨大な効果が見込めるという理由から、「2020年」が日本カジノ解禁の一つのリミットとして考えられている。

そんな中、比較対象としてよく挙げられるのがシンガポールだ。

「シンガポールは2005年にカジノ合法化について閣議決定し、2010年にはオープンしている。だから日本も今年(2015年)に閣議決定できれば2020年の東京五輪に間に合う!」

といった具合だ。

しかし、この認識は間違っていると言うほかない。

何が間違っているか、ご紹介させていただく。

 

そもそもシンガポールも6年かかっていた

まさに、”そもそも”の話である。

2005年にスタートし2010年に完成していると思われがちだが、実は2004年末からスタートし2011年中ごろに本格オープンしているのだ。

これについては、シンガポールならではの政治的特性を考慮せずに議論することで、このような誤認を生じさせてしまっている。

 

閣議決定に先立ち公募開始

一般的に新しい法律を作る場合、以下の流れで行われる。

1.内閣による閣議決定

2.国による開発・運営企業公募

3.国会で法案が成立

4.開発・運営企業が決定する

しかし、シンガポールにおいては2005年の閣議決定を前に、2004年12月より「事業構想公募(RFC: Request for Concept)」という形で、事実上入札プロセスを開始していた。

もちろんこの段階では閣議決定すら行われていないので、事業者からすれば法案が成立するかどうかの保証もない状態であり、積極的に参加するかどうかについては不明である。

しかしこの問題点を解消するために、シンガポール政府は力技を繰り出したのだ。

入札プロセスの流れとしては、「事業構想公募(RFC: Request for Concept)」の後には、「開発提案公募(RFP: Request for Proposal)」が続く。

一般的には、この”開発提案公募”は”事業構想公募”とは分離して行われるものであり、事業者も事業構想公募に絶対参加しなくてはいけないわけでも、提案内容を保証する必要もない。

だが、シンガポール政府はこの事業構想公募を、開発提案公募の「申し込みを兼ねる」とし、事業構想公募に参加した企業のみが開発提案公募をはじめとする入札プロセスの次の段階に進めるとしたのだ。

さらに事業構想公募段階で、申し込み企業の背面調査まで実施するという徹底ぶりである。

 

カジノ管理法成立に先立ち入札開始

法治国家において重要なのは、閣議決定ではなく、あくまでも国会における法の成立である。

”事業構想公募”は、内容を確証するものではないので、閣議決定の段階で進められることもあるのだが、”開発提案公募”はそういうわけにはいかない。

法律が実際に成立するまでは、該当法律の内容が変わってしまう可能性、もっと言えば不成立になる可能性だってある。

そんな状況で、内容に責任を持たなくてはならない開発提案公募を行うことは本来難しいことなのだ。

しかし、シンガポール政府は2006年2月の法案成立に先んじて、2005年11月にカジノライセンスの入札となる”開発提案公募”を行うという超法規的措置をした。

なぜこのようなことができたのか?

それは、シンガポールの人民行動党による圧倒的一党優位性が理由となる。

例えば、日本では実際に数年前に民主党が自民党をやぶり、政権交代を果たした。

つまり、内閣がなにかを決定したとしても、衆院解散選挙により政権が交代し閣議決定されたことも”すべてパア”ということもあり得るし、与党が過半数を占めていなければ国会審議で不成立となる場合もあるということだ。

しかし、シンガポールにおいては人民行動党が圧倒的勢力を持つため、「閣議決定されたことが、国会で不成立となることは極めてゼロに近い」という政治的状況があり、それがこのカジノにおけるシンガポール政府の”超法規的措置”の根拠となったのだ。

 

シンガポールは日本に比べ建築基準が甘い

IRを整備するためには、巨大な建造物を建設しなければならない。

シンガポールのマリーナベイサンズを想像していただければお分かりだろう。

法整備など所謂”ソフト”の部分にももちろん長く時間がかかるのだが、建物など”ハード”の部分に関してもとても時間のかかるのである。

ご存知の通り日本には「地震」「台風」という毎年頻発する天災がある。

だからこそ、日本の建築基準は世界的にみても極めて厳しく、大型建設には非常に長い時間がかかる。

しかし、シンガポールには「地震」も「台風」もない。

なので、建築基準が甘く、圧倒的にスピーディに建設を進めることができる。

この点でも、日本がシンガポールと同様の期間で、IRの整備を進めることが難しいことがわかる。

ちなみに、日本のゼネコン社員に言わせれば、マリーナベイサンズは「テーブルの上に置かれたマッチ箱」のようなものであり、地震の多発する日本であのようなデザイン(横に並んだ3つの高層ビルを屋上でつなぐ)の建設をすれば「地震一発で崩れる」そうだ。

 

やっぱり日本で2020年に開業を間に合わせるのは不可能?

シンガポールの様々な特性を活かしてもなお、開業までに6年もの歳月を要している。

それを考えると、日本で5年で開業までこぎつけるのは相当難しいだろう。

しかし、日本の建築技術は世界トップレベルだ。

わずか数時間で線路を地上から地下にうつす動画を見たことがある方もいらっしゃるだろう。

奇跡が起こる可能性も0ではない。

 

日本カジノ情報(JCI)のコメント

賛成派・反対派がいることはごく自然なことであり、まったく問題ないのだが、お互いに「根拠のない議論」をしていては何も進まないし、時間の無駄だ。

まずは、賛成か反対かは忘れて、フラットな目線で”現実的な内容”を精査し、やるべきかどうか、そしてできるかどうかを議論していくのが良いと考える。

下部にコメント欄があるので皆さまからもばしばし意見をよせていただきたいです↓

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